Masayoshi Hiraiwa on diverse communities for diverse interactions: impact of long-tongued pollinator loss in pollination networks. 

In this new post, Masayoshi Hiraiwa – postdoctoral researcher at Kindai University – presents his work ‘Loss of functional diversity rather than species diversity of pollinators decreases community‐wide trait matching and pollination function’. He discusses the importance of functional traits on biotic interactions, the challenge of finding proper study sites, and his interest in less studied pollination groups.   A Japanese translation of this blog post … Continue reading Masayoshi Hiraiwa on diverse communities for diverse interactions: impact of long-tongued pollinator loss in pollination networks. 

Masayoshi Hiraiwa on diverse communities for diverse interactions: impact of long-tongued pollinator loss in pollination networks (Japanese Translation)

平岩将良  論文について  マルハナバチ類やチョウ類のような大型で長い口吻をもつ昆虫は、長い花筒や距をもつ多くの花にとって重要な送粉者です。彼らは複雑な構造をもつ花の進化にとっても重要な役割を果たしています。日本の海洋島である伊豆諸島は、マルハナバチ類やアゲハチョウ類が分布していないか少なく、植物の花の進化が起きていることが知られています。最も有名な例は、伊豆諸島におけるホタルブクロ属植物の花の小型化です。本州に分布するホタルブクロCampanula punctataは主にマルハナバチ類によって送粉されますが、伊豆諸島に分布する近縁のシマホタルブクロC. microdontaは花が小さく、小型のハナバチが訪花します。  このように個々の植物種の花の進化事例は比較的よく研究されていますが、マルハナバチ類の不在が植物―送粉者のネットワーク全体に与える影響や機能についてはよくわかっていません。そこで私たちは本州と伊豆諸島のネットワークを比較し、長口吻送粉者の喪失が送粉群集に与える影響について調べることにしました。  研究について  これは島嶼生物学の文脈からみても興味深いトピックですが、人間活動等によるマルハナバチ類やチョウ類の世界的な減少が、植物―送粉者ネットワークや送粉サービスに与える影響についても深い洞察を与えてくれます。残された短い口吻をもつハナバチ類やハエ類は、マルハナバチ類がいない穴を埋めることができるのでしょうか?  これまで、送粉者の減少がもたらす影響は数種の植物と送粉者の種を用いた実験系によって検証され、多様な種が存在する自然系ではほとんど検証されてきませんでした。自然群集への影響を明確にするため、研究開始前に、植物組成が類似していて送粉者組成のみが異なる調査地を探しました。結果として、海浜植生を調査地として選びました。これは、海浜植生が広い範囲で共通して分布する海流散布植物を多く含み、植生が類似しやすい特徴をもつためです。また、伊豆諸島は本州に比較的近く、多くの送粉者種を共有しています。最も時間と労力を要したのは、マルハナバチや長い口吻をもつ他のハナバチ類がいる本州の調査地を見つけることでした。多くの海岸でこれらの種を観察することができませんでした。おそらく海岸開発や周辺の森林喪失など、さまざまな人為的影響によるものと考えられます。  調査の結果、マルハナバチが多く存在する本州のネットワークは長口吻送粉者と長花筒植物、短口吻送粉者と短花筒植物が相互作用していました。これは、一般的に観察される相互作用のパターンと同様であり、形態のマッチングが良い送粉者が訪花することで効率よく送粉が行われていました。一方で、マルハナバチ類のいない伊豆諸島では、異なる相互作用パターンが観察されました。長花筒植物に短口吻送粉者が訪花するなど、ネットワークレベルのミスマッチが生じ、植物群集全体の送粉効率が低下していたのです。  これらの結果から、多くの生態系において一般的に観察されるマッチングが良い種同士の相互作用パターンは、異なる長さの口吻をもつ送粉者間の競争の結果生じたと考えられます。つまり、マルハナバチ類のような長口吻送粉者の減少は、送粉者のニッチシフトを介して、長花筒植物だけでなく植物群集全体の送粉機能を低下させる可能性があるということです。現在進行する送粉者の減少に対処する際には、相互作用していた植物だけでなく、植物群集全体に影響が及びうることに留意することが重要です。  著者について  私は現在、博士研究員として近畿大学に所属しています。送粉生態学の研究を始めたきっかけは、ハナアブに興味をもったことでした。本研究は、神戸大学の送粉生態学者である丑丸敦史さんのもとで博士課程在籍中におこなった研究です。送粉生態学ではミツバチやマルハナバチに注目が集まりがちですが、私は小型のハナバチやハナアブなどの多様な送粉者が、植物―送粉者ネットワークの中でどのような機能的役割をもつのかに興味があります。近年、人間活動等により送粉者の多様性減少や外来種の移入などが報告されています。このような送粉者組成の変化が植物―送粉者ネットワークや群集の送粉機能に与える影響が私の博士課程からの主要な研究テーマです。現在では送粉生態系に関わらず、群集の多様性の変化が種間相互作用に与える影響について研究を行っています。  Like the blog post? Read the paper here Continue reading Masayoshi Hiraiwa on diverse communities for diverse interactions: impact of long-tongued pollinator loss in pollination networks (Japanese Translation)